男性によく生じる乳腺疾患に女性化乳房症というものがあります。男性にも乳頭直下に乳腺組織がありますが、男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが不安定になり女性ホルモンの影響が強くなると乳腺組織が発達して乳頭直下のしこりや痛みの症状が出現することがあり、この状態を女性化乳房症と言います。乳頭が服にすれて痛いとおっしゃる方も多いです。年齢的にはホルモンバランスが不安定になる思春期の10歳代や70歳以降に多くみられます。その他の原因として、肝硬変や慢性腎不全、精巣腫瘍、甲状腺機能異常等の他疾患に随伴して発症する場合や利尿剤などの薬の副作用で発症する場合もあります。経過観察となることが多く自然に改善することが多いですが、乳がんとの鑑別や原因となる他疾患がないかどうかの評価を行う必要があります。

男性の乳がんの発生頻度は女性の100分の1程度と言われています。男性乳がんの治療や成績に関しては女性の乳がんとほぼ同じとされています。ただし、乳房の膨らみがなく、乳頭直下に生じてくることが多いため、乳がんの診断がされた時には皮膚や乳頭への浸潤がみられる進行したケースが多いのも特徴です。気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。

当院では女性専用スペースを用意しているため、男性の方でもお気をつかわずにご受診いただけます。気になることや心配なことがありましたらお気軽にご来院ください。