乳がん
乳がん
乳がんは女性が発症する最も頻度の高いがんです。その一方で、進行するのがゆっくりなものが多いこと、治療がとても進歩していることから、最も治しやすいがんでもあります。仕事や子育てなどで忙しい世代の方に発症することも多いがんですが、早くみつけることにより日常生活への負担を小さくした治療を行うことができます。早期発見のためにも、当院では受診しやすさを大切にしたいと考えています。
乳がんと治療について、考え方の基本となる部分をまとめました。少しややこしい内容になりますが、ご興味のある方だけ読んでいただければと思います。
乳がんは乳腺組織にできる悪性の腫瘍のことで、乳管がんと小葉がんに分けられます。乳管がんは乳汁の通り道である乳管の内部から発生するがんで、小葉がんは乳汁を作っている分泌腺の集まりである小葉から発生するがんです。がん細胞が乳管と小葉の中にとどまっていれば、“非浸潤がん”と言って、とても早期の乳がんということになります。一方で、がん細胞が乳管や小葉の外の間質という空間に出た(浸潤した)場合は“浸潤がん”と言い、間質を通っている血管やリンパ管を通して全身のどこかに広がる、つまり転移する可能性が出てきます。浸潤がんでも、浸潤している部分が小さければ、がんが血管やリンパ管に触れる部分が小さくなるので転移する可能性も低くなります。
非浸潤がんであれば基本的には手術のみで完治します(手術方法が乳房部分切除の場合は放射線治療も追加します)。浸潤がんの場合は、画像検査ではわからないようながん細胞が体のどこかに潜んでいる可能性もありますので、それを退治して完治させるために手術の前後に何かしらの薬物療法(ホルモン療法、化学療法、分子標的薬など)を行います。浸潤がんでも、浸潤部分が小さい場合は薬物療法を行わないこともあります。
浸潤部分が大きかったりリンパ節転移があれば、相対的には進行した乳がんと言えます。しかし、乳がんは薬物療法や放射線治療がとてもよく効くがんですので、手術と組み合わせて行うことで十分に完治を目指すことができます。